2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740235
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金井 恒人 The Institute of Physical and Chemical Research, 緑川レーザー物理工学研究室, 特別研究員 (00442947)
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Keywords | アト秒物理学 / 超高速科学 / 高強度レーザー物理 / 原子分子物理学 / 分子配向技術 / コヒーレントコントロール |
Research Abstract |
本研究の目的は,高次高調波という新しい光を用い,物性物理学の未踏領域における新現象を見出すことである.本年度は,昨年度に開発した高出力高調波光源を用い,窒素分子における高調波の非線形周波数上方変換過程を観測することに初めて成功した.さらに,本研究のさらなる高度化のため繰り返し高出力チタンサファイアレーザーシステムの改良に着手し,12mJを超える増幅パルスの搬送波包絡線位相(Carrier envelope phase, CEP)を安定化することに成功した. 1. 高調波の非線形周波数上方変換過程の観測 光子と物質の相互作用において,光放出過程と光吸収過程にはある種の双対性がある.近年,高次高調波と物質の相互作用を用いて高次高調波の位相情報を得る研究が盛んに行われているが,全て光吸収(後の光電効果)を利用している.上述のansatzを信じるならば,可視・近赤外領域における光位相の測定と同じ様に,光を観測することで同じことができるはずである.この手法の原理実証のため,除震機構付きターゲットチェンバーを含む実験装置を開発し,実際に既知の光吸収過程に対応する高次高調波の周波数上方変換過程を観測出来ることに成功した. 2. CEPの制御 1の現象を初めとする高次高調波の応用実験には,基本波のCEPの制御が重要になるが,私達のレーザーの出力のCEPはショットごとに不連続的な振る舞いをしていた.まず,レーザーシステム全体に空気ばね式除震機構を搭載し,増幅光のCEPを観測すると,数ヘルツ程度の周波数成分をもつ連続的な振る舞いになった.そこで,残留した周波数成分を取り除くため,デジタルPIDアルゴリズムに基づいたフィードバック機構を新たに開発し,CEPのゆらぎを250mrad程度にまで減らすことに成功した.
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Research Products
(5 results)