2008 Fiscal Year Annual Research Report
単分子を架橋させた複合ナノ接合リングによる単分子の電気伝導測定
Project/Area Number |
20740236
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
根岸 良太 The Institute of Physical and Chemical Research, 石橋極微デバイス工学研究室, 基礎科学特別研究員 (30381586)
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Keywords | ナノテクノロジー / ナノファブリケーション / 分子デバイス / 微細加工 / ナノギャップ / 自己組織化 / メゾスコピック / クーロンブロッケード |
Research Abstract |
本研究では、2のパスを作って電子を干渉させるデバイス構造を持つアハラノフ・ボーム(AB)リング内に、高い電気伝導性が期待されるπ電子共役系単分子を架橋させた複合ナノ接合ABリングを作製し、ゲート電極を利用した単分子のポテンシャル制御による単分子内におけるエネルギー緩和を起こさない電気伝導過程、いわゆるコヒーレント伝導の実証とその電気伝導機構の解明を目指す。 本年度(H20年度)では、トップダウン型微細加工技術と分子の自己組織化による分子リソグラフィー法を併用したハイブリッド型微細加工技術の開発・最適化を行い、超伝導体(アルミニウム・ニオブ)や強磁性体(コバルト)材料からなるナノスケールオーダーの溝構造を持つナノギャップ電極の作製に成功した。本手法では、自己組織化単分子膜と金属イオンからなる多層膜(分子定規)をレジストとして用いているため、原理的には一分子層単位(〜2nm)でギャップ幅を制御することができる。実際、作製されたギャップ幅はレジストとして用いた多層膜(多層分子膜)のサイズと良い一致を示しており、これは従来のトップダウン型微細加工精度を凌駕するものである。本研究では作製されたギャップ電極の有効性を検証するために、アルカンチオールをリガンドとした金微粒子をナノギャップ電極間に配置させることにより、単一電子素子を作製し、電極間に流れる電流-電圧特性から明瞭なクーロンブロッケード現象を観察した。この結果は、本研究で目指す単分子を架橋させた複合ナノ接合ABリング構造の作製に本手法が大変有効であることを示唆している。さらに本年度では、作製されたデバイスの電気伝導特性を測定するためのシステム構築を行った。本年度予算はシステムに必要な電源(ユニバーサル・ソース)及びロックインアンプ(シンクロトラックロックインアンプ)、これら計測器を制御するためのPC・ソフトの購入に充てた。
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