2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740243
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨樫 祐一 Osaka University, 生命機能研究科, 特任助教 (50456919)
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Keywords | 生物物理学 / 酵素反応 / 細胞 / 数理モデル / 反応拡散系 / 位相振動子系 / 時空間パターン / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物細胞内における反応拡散過程の特徴が、系の振舞い(時空間パターン)に、通常の(偏微分方程式で表現される)反応拡散系とどのような違いをもたらすかを明らかにするごとである。 今年度はまず、細胞内部や膜面上にタンパク等の巨大分子が高い密度で存在(混雑)していることの影響に注目した。分子の混雑の影響として、拡散過程の変化は従来より研究されてきた。本研究では、酵素をはじめとする分子機械の、構造変化を伴う動作(反応)の過程に、周辺の分子が直接、力学的に及ぼす効果に主眼を置いている。 以上の問題意識に沿って、下記2項目の研究を実施した。 1. 分子機械を大きさの変化する粉体粒子として表現することにより、分子間の力学的な相互作用が反応に及ぼす影響を表現する簡単なモデルを構成した。このモデルでは、各粒子は1個の状態変数(位相)を持ち、粒径は状態変数の関数で決定される。2次元での(生体膜を意識した)計算機シミュレーションの結果、粒径の変化による分子の再配置を伴う、特徴的な進行波パターンが観察された。この結果は、日本物理学会第64回年次大会において公表された。細胞内には分子機械の埋め込まれた様々な膜構造があることから、それらの関与する反応過程を理解する上で、モデルで見られる現象が示唆を与えるごとが期待される。現在、より現実に近い反応モデルと組み合わせた新たなモデルの構成を進めている段階であり、次年度に解析を進める予定である。 2. あわせて、反応容器の形態(例えば細胞の形状)と内部の反応の様相とが相互に関係する系を、情報の流れと処理の観点からモデル化する試みを開始した。現時点で、試験的なシミュレーションを開始した段階である。
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Research Products
(2 results)