2009 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族炭化水素における反磁性環電流発現機構の解明と室温超伝導体の開発への応用
Project/Area Number |
20740244
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
加藤 貴 Nagasaki Institute of Applied Science, 大学院・工学研究科, 准教授 (10399214)
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Keywords | 反磁性環電流 / π共役系炭化水素分子 / 振電相互作用 / piceneアニオンの超伝導性 / 超伝導統一理論 |
Research Abstract |
π共役系炭化水素分子における反磁性環電流発現機構の解明とマクロ・ミクロサイズの物質における超伝導統一理論の構築 π共役系炭化水素分子において、外部磁場を付加すると反磁性環電流が誘起されることは、100年近く前から知られているが、なぜ反磁性環電流が誘起されるのかその理由は解明されていない。このことを踏まえ、様々なπ共役系炭化水素分子において反磁性電流が誘起されるメカニズムを理論的に提案した。また、ミクロサイズにおける反磁性環電流とマクロサイズにおける超伝導電流の類似性、相違点に着目し、両方の現象を統-的に解釈できる従来の超伝導理論であるBCS理論より、普遍的な理論の構築を行なった。また昨年、発見されたpiceneアニオンの超伝導性(超伝導転移温度7Kおよび18K)について理論的研究を行った。我々は2002年の段階でpiceneモノアニオンにおける超伝導性はおよそ10K程度であることを予測し、アメリカ物理学会誌(T.Kato et al.,J.Chem.Phys.116(2002)3420)で発表している。今回の超伝導は、ドープされたK原子が完全にイオン化したpiceneトリアニオンで発現された可能性が強いが、超伝導転移温度、電子-フォノン相互作用結合定数やラマンスペクトルの結果、モノアニオンの可能性を完全には否定できない。これらの発見を踏まえ、発見者と共同研究(理論研究を担当)を行ない、現在piceneがどの程度アニオン化しているかを検討している。
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