2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポアベシクルの細孔を利用した高分子の透過現象観測
Project/Area Number |
20740246
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
山田 悟史 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 博士研究員 (90425603)
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Keywords | 生体模倣系 / 脂質二重膜 / 自己組織化 / ソフトマター物理 / 界面化学 |
Research Abstract |
生物の細胞やその小器官のしきりである生体膜は主に両親媒性分子であるリン脂質の二重膜により構成されている。この脂質二重膜はグルコースより大きな非電解質やイオンに対して強いバリアー能を有しており、内部から物質が流出するのを防いでいる。その一方、生命活動を維持するためには外部との物質交換が必要不可欠であるため、生体膜に点在しているチャネルと呼ばれるナノ細孔等を介して物質の選択的輸送が行われている。本研究では、このような生体内における物質輸送の理解に向けた模倣系構築の一環として、直径数nmの細孔を有する小胞、ナノポアベシクルに着目した研究を提案する。特に、炭化水素鎖の長さが異なる2種類のリン脂質を混合した"長鎖リン脂質/短鎖リン脂質混合系"は、自発的に均質なナノポアベシクルが形成されることを研究代表者は最近の研究から明らかにしており、本研究はこれを利用したモデルの構築を目指すものである。 研究の初年度である平成20年度は、ナノポアベシクルに高分子を封入するための開発要素として、高分子添加によるベシクルの安定性について検証を行った。高分子として電気的に中性なポリエチレングリコール(PEG)を用いて実験を行ったところ、50mg/mL程度のPEG濃度においてベシクルの再構築が起きることが分かった。また、分子量に対する依存性についても調べるために分子量を4000、40000のPEGを用いて実験を行った結果、再構築の程度に差はあるものの、いずれの分子量においても再構築が生じることが明らかとなった。ベシクル自体の再構築が生じてしまうと高分子の移動がナノポアを介したものなのか、もしくは再構成によるものなのかを区別することが困難となってしまうため、今後は再構成のメカニズム解明を目指すと共に、これを抑制する手段を検討していく。
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Research Products
(4 results)