2008 Fiscal Year Annual Research Report
太陽系始原天体でおこる衝突現象のその場観測手法を用いた実験的研究
Project/Area Number |
20740249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 聡 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (20396857)
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Keywords | 衝突クレーター / 衝突実験 / スケーリング則 / 太陽系小天体 / 斜め衝突 |
Research Abstract |
本研究においては、衝突クレーター形成の直接観測を行い、スケーリング則に対する衝突角度依存性及び物性効果を明らかにする事を目的としている。20年度は、斜め衝突時のクレーター形成過程のその場観測を行った。一段式ガス銃を用いてポリカーボネイド弾丸を100-200m/s加速し、標的(ソーダライムガラスビーズ)に斜め45度で衝突させた。標的にはあらかじめ7本のレーザー光(赤色および緑色)が等間隔で照射されており、掘削領域が広がるにつれて照射レーザー光の形状が変化する。このレーザー光の時間変化を高速ビデオカメラを用いて撮像を行った。スケール画像と比較および解析することにより、レーザー光の衝突前の位置からの変化量から、実際の掘削領域の深さ推定を行った。この解析を、7本のレーザー光に対して行い、各時間における掘削領域の3次元形状について導出を行った。この種の解析を各時間の画像に対して行うことで、最終的に斜め衝突時における掘削領域の3次元形状の時間変化を明らかにした。その結果、衝突直後(〜数m sec)の掘削領域の形状は衝突下流側に延びた楕円形状を示すが、時間と伴に掘削領域が広がるにつれ、掘削形状は円形に近づくことがわかった。また、具体的に形状の楕円率を各時間ごとに導出しその時間発展について調べたところ、衝突直後は楕円率0.6-0.7程度にあるのに対して、過渡クレーター形成時には円形から一割程度しかずれていないことが明らかとなった。また、過渡クレーター形成後の崩壊過程では楕円率は大きくは変化しなかった。以上のことから、本研究のように衝突速度数百m/s程度の斜め衝突の場合であっても、形成されるクレーターの形状は円形を保つことが明らかとなった。天体上に見つかるクレーターの画像解析において、クレーターの形状が衝突角度に対しては、いい制約条件を与え曲ないという事が本研究より明らかとなった。
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