2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桜庭 中 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50345261)
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Keywords | 地球電磁気 / 地磁気 / 非線形偏微分方程式 / 電磁流体 / 回転流体 / 天体ダイナモ |
Research Abstract |
地球の液体金属コアに生起する流れと磁場の基本的な構造をあきらかにするための第一段階として、回転する箱形の非粘性電磁流体を考え、支配方程式である非線形偏微分方程式を数値的に解くためのアルゴリズムを考案した。流れの駆動力として、速度の回転軸方向の成分に比例するような人工的な強制力を、回転軸方向に与えた。方程式を安定に解くために、いくつかの計算手法を比較検討した。その上で、スタッガード格子を導入し、速度、圧力、電磁場のベクトルおよびスカラーポテンシャル、磁場、電流密度の合計14個の変数を、一括して緩和法で求める方法を採用した。プログラム開発をおこない、手法の妥当性を検討した。 また有限な粘性率をもった流体の流れが駆動するMHDダイナモの数値シミュレーションにおいて、できるかぎりその粘性を小さくする試みもおこなった。そのための数値計算手法はこれまでの研究でほぼ確立したものであるが、低い粘性率のために、大規模な数値計算を必要とする。地球シミュレーターをもちいて、エクマン数と磁気プラントル数を、これまでよりも1桁近く抑えることに成功した。このような低粘性MHDダイナモでは、強い磁場が生成されず、場合によっては双極子磁場の生成も阻害されるという研究報告が近年なされていたが、その原因が、コア表面温度を水平方向に一様とする境界条件を課したことにあるという考えを提示した。温度一様の条件下では、境界に沿った流れが抑制され、大規模な流れが駆動されにくいことを指摘した。境界条件として、熱フラックス一様の条件を代わりに課したところ、大規模な流れが発達し、これがコア対流の基本構造をあらわしていると推論した。
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