2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740252
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
玄田 英典 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (90456260)
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Keywords | 惑星形成 / 天体衝突 / 大規模数値計算 / 地球型惑星 |
Research Abstract |
惑星形成は、究極的には、太陽の周りを公転する無数の惑星材料物質の衝突合体の積み重ねであると考えられる。本年度は、昨年度に作成した軌道進化(N体コード)と衝突(流体コード)を一連の計算で扱うことのできる世界でも初めてのハイブリッドコードを用いて、数々の問題に取り組んだ。 特に、現在の地球型惑星の特徴における普遍性と特異性を明らかにするために、地球型惑星形成の最終ステージに注目した研究を行った。このステージは、複数個の火星サイズの原始惑星がお互いに衝突し、合体成長するという激しいステージである。したがって、衝突過程を精密に考慮した原始惑星の軌道進化を解く必要がある。ハイブリッドコードを用いた結果、現在の地球型惑星の個数や質量分布などといった極めて基本的な量がどのような物理量で規定されているのかを明らかにすることができた。また、衝突合体があまり効率よくおこらないことから、惑星の自転速度が、従来行われてきた簡単な計算よりも遅くなることがわかった。また、まれに起こる高速衝突によって、マントルがはぎとられて、鉄のコアを多くもつ水星のような惑星が形成される確率を初めて定量的に示すことができた。 さらに、このハイブリッドコードを用いて、太陽系外の惑星形成についても検討を行った。特に、中心星の重元素量とその恒星に付随する惑星の重元素量の関係が、天体同士の衝突によって説明できるのではないかという重要な示唆を得ることができた。
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