2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740257
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山下 直之 Waseda University, 理工学術院, 講師 (90398933)
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Keywords | 月・衛星・小惑星 / 惑星形成・進化 / 元素分布 |
Research Abstract |
1. 研究目的 現在、惑星核分光学上最もエネルギー分解能に優れている分光計はゲルマニウムを用いた検出器であるが、観測時に90K程度まで冷却する必要があり、重量や電力の確保が常に問題となる。そこで設計の最適化により、外部から検出器への熱流入量を可能な限り減少させ、必要冷凍能力を低減させることができれば、冷凍機重量を抑え低消費電力化にもつながる。本研究では、小型の惑星探査衛星に高精度ガンマ鯨分光計を搭載するため、重量・熱流入量・対振動(打上時)を考慮した設計の最適化・検証モデルの製作・検証実験を行った。 2. 研究方法 様々な理論・シミュレーション計算の結果、本研究で採用した熱・強度設計上の主な特色を以下に示す。 A. 結晶素子の支持構造体とは逆側に60度センタを用いた中心軸支持 B. 熱輻射による熱流入を減らすため、結晶カプセルの外壁に対する鏡面加工及び金メッキ C. 支持構造体とチャンバー、支持構造体と結晶素子の接触面積を減らすため、ボルト留め部にオーラム製座金の使用 以上を設計に採用し、検証用モデルを製作した。 ただし、本実験では冷却試験及び加振試験のみを行うため、Ge結晶素子の代わりに体積・重量・熱容量などが近い値の銅製のダミーを使用した。 3. 研究成果 製作した検証用モデルが、1) 打ち上げ時の振動に耐え得るか2) 結晶素子が90K以下まで冷却可能か、の2点について、実験による確認を行った。 振動実験では上下・左右方向の加振試験を別々に行い、それぞれランダム振動と正弦波振動を加えることにより共振点と強度の検証を行った。 冷却実験では、住友重機製の冷凍機SRS2103を用いて結晶素子の温度が90K以下まで冷却可能かどうかの検証を行った。 各種環境試験の結果、本研究で製作したGe検出器は惑星探査において使用可能であることが概ね確認できた。
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