2010 Fiscal Year Annual Research Report
三次元マントル対流モデルによるプルームモードとプレートモードの発生機構の解明
Project/Area Number |
20740260
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 晶樹 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 主任研究員 (00371716)
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Keywords | マントル対流 / 数値シミュレーション / 上昇プルーム / 大陸 / 超大陸 / レオロジー / コア・マントル境界 / 三次元 |
Research Abstract |
1.昨年度までに開発した大陸移動を実現するマントル対流計算アルゴリズムを「完全」三次元球殻モデルに拡張した。このアルゴリズムでは、大陸移動を数値拡散なく正確に解くために追跡粒子法を用いている。将来、この数値シミュレーションプログラムを用いることにより、地球史における大陸リソスフェアとマントル対流との熱的・力学的相互作用の歴史や、地球表層運動に起因する大規模上昇プルームの発生メカニズムなど、地球内部ダイナミクスにおける重要な未解決問題が解明されることが期待される。 2. 1の数値シミュレーションプログラムを用いて、現在から未来への大陸移動の様子を推定した。温度場の初期条件には、S波地震波速度異常モデルを用いた。速度異常から温度異常への変換比は、鉱物物理学で得られている深さプロファイルを用いた。計算の結果、現在の大陸は、約2億年後までに、二つの大規模上昇流から遠ざかるように、北半球に集まる傾向にあることが分かった。ただし、南アメリカ大陸と南極大陸はほとんど移動しない。 3.三次元部分球殻モデルを用いて、大陸クラトン(以下、「大陸」とする)の時間的安定性を実現する数値モデルを構築した。このモデルでは大陸の周囲に低粘性境界領域(weak boundary zone : WBZ)を設置し、大陸本体とWBZの粘性率比を自由に変えて計算を行うことが出来る。計算を行った結果、大陸とWBZの粘性比が10^<**>5(大陸の粘性率は10^<**>26Pa s)のとき、約10億年経過した後も、大陸はあまり変形せず、初期の形を保つことが分かった。さらに大陸の粘性率を10^<**>27Pa sにした場合、約20億年経過した後も大陸の形はほぼ安定であった。これらのことは、大陸クラトンの地質学的時間にわたる安定性には、大陸とその周囲のプレートとの力学的コントラスト、及び、大陸自体の大きな粘性率が重要であることが示唆される。
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