2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740262
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
尾鼻 浩一郎 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (10359200)
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Keywords | 南海トラフ / 低周波微動 / 海底地震計 / 付加体 / 分岐断層 |
Research Abstract |
南海トラフ沿いの付加体先端付近では、低周波地震と呼ばれる周期数十秒の信号に卓越するイベントが陸上の地震観測網により観測されている。特に2004年9月の紀伊半島南東沖地震の発生以降、紀伊半島沖で低周波地震活動が活発化したことが指摘されている。また短周期海底地震計により、低周波地震とほぼ同時刻に2-8Hz付近にスペクトルピークを持ち数分間継続する微動現象が観測されている。本研究では、これまでに南海トラフで海底地震計を用いて行われた自然地震観測のデータから微動を検出し、その発生位置を明らかにすると共に、海底地震計記録から推定される微動源の分布と、陸上の広帯域観測網によって観測されている低周波地震の震源モデルとを比較し、南海トラフで発生している低周波地震や微動現象の震源像の解明を行う。これまでの波形のエンベロープ相関による解析で、短周期海底地震計で観測される低周波微動は分岐断層と呼ばれる付加体内部の逆断層浅部に集中して発生していることが示された。本年度は新たに南海トラフ沿いで行われた海底地震計観測で得られた記録について、微動活動の検出を試みた。特に2008年から2009年にかけて実施した紀伊半島沖での広帯域海底地震計観測では、陸上観測により観測領域近傍で低周波地震活動が活発化した事が報告されており、震源近傍で陸上と同時に震源近傍で広帯域波形記録を得る事が出来た。震源近傍で観測された広帯域記録には、陸上で観測されているような周期数十秒の長周期の信号だけでなく、短周期海底地震計で微動として観測されているような周期数Hzの比較的高周波の信号も含まれていた。この事は、短周期海底地震計で観測された低周波微動が、陸上から観測されるような低周波地震と深く関係した現象である事を示している。
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