2009 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏―成層圏における惑星波の季節内・年々変動:観測と大気大循環モデル
Project/Area Number |
20740272
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
田口 正和 Aichi University of Education, 教育学部, 准教授 (50397527)
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Keywords | 対流圏-成層圏大気 / 惑星波 / 季節内・年々変動 |
Research Abstract |
最近、対流圏-成層圏力学的結合変動において、熱帯下部成層圏における子午面循環(ブリューワー・ドブソン循環、以下BD循環)の重要性が認識されてきた。従来の考えでは、この領域のBD循環(上向き・冬極向きの流れ)は冬半球の惑星波によって駆動されていると思われてきたが、近年には熱帯の対流によって励起される赤道ロスビー波の駆動が本質的であるとの指摘が出てきた。本研究では、対流圏・成層圏の大規模循環を再現する気候モデルWACCM (Whole Atmosphere Community Climate Model)を用いた既存のシミュレーションデータを診断し、本領域の平均的季節変化及び北半球冬季におけるENSO(エルニーニョ/南方振動)変化を調査した。 季節変化に関しては、WACCMの50年のコントロールランを解析した。北半球の冬に、活発な対流が赤道インドネシア付近に局在化し、赤道ロスビー波を励起する。この波が、熱帯下部成層圏で散逸し、強い極向き・上向きの流れを駆動し、低温偏差を形成することが分かった。ENSO変化については、季節を北半球冬季に固定し、熱帯の海面水温をラニーニャまたはエルニーニョ条件に設定した2つの永続的なランを比較した。エルニーニョ時に停滞性波の駆動・BD循環が強化され、より低温となることが分かった。波駆動の強化には、北半球及び上向きに向かう東西運動量のフラックスが重要であることが分かった。
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