Research Abstract |
大気大循環モデルを用いて, 厚い雲に覆われた地球型惑星の大気大循環や波動擾乱の自転傾斜角依存性を調べた. 自転周期を243日(金星条件), 16日(タイタン条件), 1日(地球条件)の3つに設定した条件下で自転傾斜角を変えた実験を行った. 自転傾斜角が大きくなるにつれて超回転が弱くなり, 60度近い値になると, 逆回転が見られる. ゆっくり回転する惑星の逆回転は, -Ω(Ω : 自転角速度)に制限される. これは, 大気回転が-Ωの状況では, 子午面循環による鉛直角運動量フラックスが0になり, 角運動量の鉛直輸送が止まってしまうことによって説明されるこのように, 上記の研究では, 厚い雲に覆われた惑星の「逆回転状態」を発見し, その制限値およびその理由を明らかにした. 超回転や逆回転を理解する上で, 自転速度や南北加熱差に加えて, 自転傾斜角も非常に重要であることがわかった. これらの成果は, Yamamo to and Takahashi (Astron. Astrophys., Vol. 490, L11, 2008)にまとめられた. 雲層より下の加熱率が惑星中層大気の循環に与える影響も明らかにされつつある. 本年度は, 下層大気の加熱率を変えた実験を多数行い, 予備的解析をした. 下層大気の微弱な加熱率が, 超回転強度や多重平衡状態に与える影響について調べた. 現段階の予備的解析であるが, 下層大気の微弱な加熱率が中層大気大循環や波動擾乱に多大な影響を与えることが示唆され, 来年度以降の詳細な解析に必要な基本的な描像を得ることができた(Yamamoto and Takahashi, EPSC Abstract, Vol. 3, EPSC2008-A-00093).
|