2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740273
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 勝 Kyushu University, 応用力学研究所, 准教授 (10314551)
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Keywords | 惑星大気 / 大気大循環 / 大気波動 / 地球流体力学 |
Research Abstract |
CCSR/NIES大気大循環モデルを用いて,雲層より下の加熱率が惑星中層大気の循環に与える影響について調べた(Yamamoto and Takahashi2009,J.Geophys.Res.).下層の加熱率を太陽直下で0.005K/dayにした実験では,80m/sの初期値を用いたとき,雲層では弱いながらスーパーローテーションが形成されるが,下層では観測されているようなスーパーローテーションは形成されない.このような現実に近い加熱の場合,子午面循環の存在下では,潮汐波による下層大気スーパーローテーションメカニズムは機能しない.下層の加熱率を太陽直下で0.05K/dayにした場合,初期値依存性(多重平衡)が見られ,80m/sの初期値を用いると中層大気でスーパーローテーションは再現されるが,観測されているような下層大気スーパーローテーションは形成されない.また,下層の加熱率を大きくすると(太陽直下で0.5K/day以上),多重平衡は見られなくなり、下層で大きなスーパーローテーションが形成される.金星の場合は,多重平衡解か?単一平衡解か?を決定する要因として,下層の加熱が重要であることが明らかになった. 地形の有無が惑星中層大気大循環に与える影響についても,金星大気大循環モデルを基に調べた(Yamamoto and Takahashi 2009,Earth Planets Space).最下層の流れが弱い今回の実験では、地形に起因するスーパーローテーション強度の違いは小さい。他方、最下層付近の鉛直解像度が粗いHerrnstein and Dowling (2006)の研究では、雲頂のスーパーローテーションが弱いわりに地表風が大きいために、地形の影響が出やすいようである。加熱率とニュートン冷却の高度依存性による加熱差で山頂から低地へ流れるパターンが見られるが、風自体は弱い。これは、最下層の流れが大きく、地形に起因する渦が見られるHerrnstein and Dowling (2006)と大きく異なる。本研究とHerrnstein and Dowling (2006)の違いは、地表付近の解像度や物理過程のパラメタリゼーションの違いによると考えられる。
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