2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740273
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 勝 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10314551)
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Keywords | 惑星大気 / 大気大循環 / 大気波動 / 地球流体力学 |
Research Abstract |
厚い雲に覆われた惑星の公転周期や自転周期を変えた数値実験を行い、雲層のスーパーローテーション強度依存性を調べた。その中の金星を対象にした実験に関しては,金星大気大循環モデルの相互比較に参加し、加熱分布の重要性と重力波や境界層のパラメタリゼーションの重要性が再認識された。特に、地表付近の大気力学は雲層域の大気大循環とも密接に関わっていることから、金星地表面付近の数値実験を行った(Yamamoto 2011)。これは、渦拡散係数の見積もりにおいて、本課題で使用する大気大循環モデルの高度化に寄与する。対流調節実験では,上層(>2km)は安定成層に,下層(<2km)は初期温位勾配を0.0~-5.0K/kmに設定した.初期温位勾配が大きいほど,熱輸送,物質輸送,運動量輸送の鉛直フラックスは増大し、個々の対流セルの大きさは小さくなる.開始から1時間ほど後に対流調節が起り,急激に「温位やトレーサーの混合」や「混合層の上部と下部で反対向きの流れ」が生じる.その後,領域平均の温位や流れはsub-grid scale拡散で徐々に変わっていく.どのケースでも,対流調節時に大きな渦拡散係数が見られる.この値は鉛直1次元放射対流平衡で見積もられた渦拡散係数と矛盾しない.対流混合層実験では,地面からの熱フラックスQを変えた計算を行い,混合層の発達やそれに伴う渦拡散係数を調べた.Qが小さいと,対流混合層は維持されず,初期に対流が起きた後,徐々に弱まり無くなる.他方,Qが大きいと時間とともに対流混合層が成長する.減衰から成長へ移り変わる敷居値Qでは,混合層が定常的に維持される.Qが大きいケースでは,大きな渦拡散係数が混合層内に見られる.
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