2008 Fiscal Year Annual Research Report
高精度データ同化システムの開発による大気微量成分の濃度予測可能性の検証
Project/Area Number |
20740275
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
関山 剛 Japan, Meteorological Research Institute, 環境・応用気象研究部, 主任研究官 (90354498)
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Keywords | データ同化 / 大気化学シミュレーション / アンサンブル・カルマン・フィルタ / オゾン / エアロゾル / 予測可能性 / 解析値 / 初期値 |
Research Abstract |
気象研究所開発の全球オゾンモデルと気象庁数値予報課開発の4次元局所アンサンブル変換カルマン・フィルタを組み合わせて成層圏オゾンデータ同化システムを開発した。人工衛星によるオゾン全量観測値をデータ同化することによって、3ヶ月間のオゾン全量解析値を作成した。気象庁現業(紫外線予測)で使用されている簡便なデータ同化手法(ニュートン緩和法)による解析結果と比較して、オゾン全量の解析精度に大幅な改善が見られることを確認した。オゾン全量すなわち成層圏オゾンをアンサンブル・カルマン・フィルタによってデータ同化する試みは世界でも稀であり、その実験結果は国際学会(SPARC2008,イタリア)にて発表された。 気象研究所開発の全球エアロゾルモデルと気象庁数値予報課開発の4次元局所アンサンブル変換カルマン・フィルタを組み合わせて対流圏エアロゾルデータ同化システムを開発した。人工衛星搭載のライダー装置で測定した大気の減衰後方散乱係数をデータ同化することによって、1ヶ月間のダスト/海塩/硫酸エアロゾルそれぞれの解析値およびダスト発生源推定値を作成した。人工衛星によるエアロゾルのライダー観測値をデータ同化する試みに成功したのはこれが世界初であり、今回作成したエアロゾルの解析値は現時点において世界で最も詳細かつ高精度なものであろう。この実験結果は国際学会(IGAC2008,フランス)および国内学会(大気化学討論会,横浜)において発表され、ヨーロッパ地球科学連合(EGU)の査読付き英文論文誌に掲載された。 これらオゾン全量および各種エアロゾルの解析値は高精度な予測計算の初期値として使用可能であり、本研究の目的である大気微量成分の濃度予測可能性の検証に必要不可欠なものである。今後は、解析値を作成するにあたってアンサンブル・カルマン・フィルタにより導出された解析誤差情報も詳細に検証し、予測実験の準備を行う。
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