2008 Fiscal Year Annual Research Report
数値実験と風洞実験の融合による新しい大気乱流パラメタリゼーションの提案
Project/Area Number |
20740276
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
北村 祐二 Japan, Meteorological Research Institute, 物理気象研究部, 研究官 (40455275)
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Keywords | 気象学 / 大気境界層 / 数値モデリング |
Research Abstract |
平成20年度は,既存の乱流パラメタリゼーションスキームを用いて一連の安定境界層の理想実験を実施し,個々のスキームの特性についての解析を行った.特に,数値実験から得られる結果の妥当性を検証するために,Germaneの恒等式を活用して,乱流パラメタリゼーションによって表現されるサブグリッドスケールの鉛直フラックスが,数値モデルにおいて自己整合性をどの程度持ち得るかについて定量化することを試みた.その結果,乱流運動エネルギーを予報変数とするDeardorffスキームでは解像度が低くなったときに熱フラックスを過大評価する傾向があること,Smagorinskyスキームでは解像度が低くなると,サブグリッドスケール成分が混合層上端の温度勾配を過大に解消するように働き,混合層の構造を維持できなくなることなどを定量的に評価することができた.また,リファレンスデータの作成の際に空間フィルタを利用することで,用いるリファレンスデータに依存せずに一貫した解析結果が得られることを確認した.今回の結果は,Germanoの恒等式に基づく解析が,時空間的に密な観測データの取得が困難な大気境界層の数値モデリングの検証にとって有効なツールとなり得ることを示唆している.室内実験から得られる結果との整合性の検証を通じて,今回用いた解析手法の有効性をさらに調査する必要があるため,今後、実験風洞を活用することを計画している. 上記の成果については,気象学会や海外のワークショップにおいて研究発表を行った.また,現在学術誌への投稿に向けて論文を執筆中である.
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