2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740279
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
纐纈 慎也 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境変動領域, 研究員 (30421887)
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Keywords | 北太平洋 / 黒潮続流 |
Research Abstract |
黒潮続流における中規模渦に関係する海水の混合を調査するため,高解像度モデルの調整と観測データの取り纏めを行った.モデルの調整については,高解像度モデルにおいてある程度現実的な地形を設定した上で,黒潮続流における成層を再現するために千島列島付近で層厚の緩和をした実験と緩和しなかったものについて比較実験を実施した.比較実験を実施中にモデル自体の修正を余儀なくされたため,その結果の詳細については,整理されていないが,オホーツク海での氷の過程の直接的な再現を回避するために一般に良く用いられてきた緩和が高解像度モデルでどのような影響を及ぼすかについて知見を得られると期待される. 一方,以上のようにモデルの調整に当初予定より時間を要したため,事前に計画していた通り,観測データの解析を並行して進めることとした.この観測データの解析からは,黒潮続流付近に頻繁に観測される暖(冷)水渦では冬季混合層の深(浅)いという強い関係を見出した.この関係は,過去の研究では,定性的には存在すると推定されていた現象であり,且つ,近年の衛星データの蓄積から,注目されてきた,大気の影響のスケールに比べて小さい,海洋の中規模渦や前線スケールでの大気と海洋との相互作用関係からも強く示唆される関係である.海洋亜表層の変化について海盆スケールでも観測される関係として直接的に示した少ない例の一つであり,海洋の渦スケールの相互作用の海洋側への反映を示したものといえる.
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