2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740279
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
纐纈 慎也 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (30421887)
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Keywords | 黒潮続流 / 混合層 |
Research Abstract |
前年に得ていた高気圧性渦で冬季に混合層が深く発達する過程についてより詳細に解析を行った.その結果,黒潮続流北の混合域で,中央モード水と呼ばれる水塊形成に渦とともに発達する混合層が重要であることが分かった.この結果は,黒潮続流に沿って流れる水塊が渦により北に運ばれたあと,鉛直的に混合してモード水を形成するという描像を示すものであり,続流付近の水塊交換の一部であり重要な過程だと考えられた.この成果については,論文として投稿し,査読中である. このような過程を担う渦の発達について,数値計算で比較検討した.数値計算の3年間のデータで,平均場と擾乱場に分けて解析を行った.この結果,オホーツクで海洋中層の成層が弱くなるよう緩和した結果では,緩和しないものより,より多くの渦が形成されたことを確認した.これは,オホーツクの成層を適切に再現しないと,続流での渦の状態を再現できない可能性を示すものである.さらには,何らかの理由で時間的に成層が変化するような場合,続流での渦輸送が変化することを示唆するものであった. 一方で当初想定していなかった,渦より大きなスケールの擾乱についても,オホーツクの成層が弱い場合の方が,強くなる傾向があることが分かった.中規模渦の形成の変化がより大きな構造に影響を及ぼす可能性を示唆していると,推測されるが,この事実については,解析期間が3年である制限などに注意して更なる研究が必要であると考えられる.
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