2008 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏の変動に伴う重力波と成層圏準2年振動に関する研究
Project/Area Number |
20740280
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
河谷 芳雄 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境フロンティア研究センター, ポストドクトラル研究員 (00392960)
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Keywords | 中層大気力学 / 重力波 / 赤道波 / 赤道準2年振動 / 対流圏変動 / 大気大循環モデル |
Research Abstract |
CCSR/NIES/FRCGC大気大循環モデルを用いて、重力波の解析と長期積分の両方が遂行可能な仕様を求めて、様々な解像度のテストを行った。重力波-平均流相互作用を良くシミュレート出来るように、鉛直解像度は上部対流圏から成層圏に掛けて約300mに設定した。これはモデルがQBOを自発的に再現する為に十分な鉛直解像度である。降水活動や重力波スペクトルが現実的であること等に着目して、積雲対流スキームのパラメータ調整及び拡散の強度の調整を行った。最終的にモデルでシミュレートされたQBOの周期は約2年になった。 本年度は上記実験設定以外に、同モデル旧バージョンの長期積分データを用いた成層圏の赤道波・重力波分布に関する解析も行った。本モデルは対流と結合した赤道波モードのスペクトル分布及び地理分布の再現性が現実的であることが確認された。対流と結合した赤道波モードは経度方向に強度が変化し、対流圏から成層圏へ伝播する赤道波のソースになっていた。加えてウォーカー循環による東進波・西進波のフィルタリング特性が経度方向に異なる事により、下部成層圏へ伝播する波の東西非一様性が生じる。ケルビン波、n=0東進重力波、混合ロスビー重力波は背景風の影響を強く受けるが、高次のモード(n=1やn=2)程、その影響が一般的に小さくなる。成層圏の赤道波の全球分布は(1)対流と結合した赤道波の経度分布、(2)ウォーカー循環、(3)QBO位相、の3つによって決定され、最新の衛星観測で発見された東西非一様な赤道波分布のメカニズムを説明する事に成功した。以上をまとめて論文として報告した。
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