2010 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏の変動に伴う重力波と成層圏準2年振動に関する研究
Project/Area Number |
20740280
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
河谷 芳雄 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (00392960)
|
Keywords | 中層大気力学 / 重力波 / 赤道波 / 赤道準2年振動 / 対流圏変動 / 大気大循環モデル |
Research Abstract |
QBOを陽に表現可能な大気大循環モデルを用いて、地球温暖化時の赤道準2年振動(QBO)の変化を研究した。非定常重力波パラメタリゼーションを用いなくてもQBOをシミュレート可能で、且つ長期積分も可能である解像度T106L72のモデルを用いて、現在気候・将来気候実験について、それぞれ90年間積分を行った。現在気候実験では、英国ハドレーセンターの海面水温と海氷の気候値分布を境界条件として使用した。CO_2濃度は現在気候で345ppm、将来気候は2倍の690ppmとした。温暖化に伴ってQBOの周期は長く、振幅は弱く、下端高度が上がる特徴が見られた。帯状平均東西風の緯度-高度分布を見ると、温暖化に伴う帯状平均温度場の変化と対応して、上部対流圏から成層圏に掛けて中緯度西風ジェットが強化され、且つ風速0 ms^<-1>ラインが赤道寄りになる。この背景東西風の変化が、中緯度ロスビー波および山岳起源重力波による東風加速領域の位置を変え、結果として赤道から中緯度へ向かう残差子午面循環を強化させ、赤道域の上昇流が増加する。一方で温暖化時では赤道上の平均降水量は増加し、上部対流圏から下部成層圏では、重力波に伴う運動量フラックスは10-15%増加していた。しかしながら下部成層圏での大気波動に伴う運動量フラックスは、東西位相速度の絶対値が大きな領域では温暖化に伴って増加しているが、QBO駆動に効果的な比較的小さな位相速度領域では殆ど増加していなかった。温暖化に伴って励起される大気波動と赤道域の上昇流は共に増えるが、QBOが存在する高度では上昇流の効果が上回るため、QBOの変化が引き起こされる。以上の結果を学術論文として発表した。
|