2008 Fiscal Year Annual Research Report
高解像度火星大気大循環モデルを用いた中小規模擾乱とダストストームの研究
Project/Area Number |
20740284
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 芳幸 Kobe University, 大学院・理学研究科, 特命助教 (00372657)
|
Keywords | 惑星大気 / 大気大循環 / 大気大循環モデル / 高解像度実験 / 中小規模擾乱 / 火星 / ダストストーム |
Research Abstract |
本年度は, これまでに開発してきたモデルを用いて, 大規模なダストストームが発生することで知られる北半球の秋の条件での実験に注力した. 水平格子点間隔22, 44, 89kmの複数の解像度での実験を行い, 中小規模擾乱の特徴とダスト巻き上げ過程の関係の掌握を目指した. 北半球の秋における顕著な中小規模擾乱は, 高い山の風下側に形成される中規模渦, 低緯度域における100-150km程度の水平スケールを持つ多数の渦群, そしてタルシス高地の西斜面における, 幅100-150km, 長さ1500km程度に及ぶ線状渦領域(水平風のシアー)である. これらの擾乱は明確な日変化を示し, 斜面風や, 今回用いた解像度で表現される局所的な対流活動, そして重力波に起因するものであろうと考えられる. これらの擾乱のダスト巻き上げ過程への影響を調べたところ, これらはこの季節の最も顕著なダスト巻き上げ過程ではないものの, 確かにダストの巻き上げに寄与していることが示された. しかし, 今回行った水平格子点間隔22kmの実験においてさえ表現しきれない擾乱は, その風速, 温度の変動幅が過小評価の可能性が考えられる。したがって, 平成21年度以降はモデルで用いている乱流のパラメタリゼーションやダスト巻き上げ過程の不確定性などにも注意を払いながら, 追実験や結果の解析を行うことで, 擾乱の性質やダスト巻き上げ過程の理解を深めたい.
|
Research Products
(5 results)