2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740289
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
今村 剛 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 准教授 (40311170)
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Keywords | 月 / 電離層 / 電波掩蔽 |
Research Abstract |
電波掩蔽とは、探査機が惑星の背後に隠れようとする時に、探査機から送信されて惑星大気を通過したのち地球へ届く電波を調べて大気構造を研究手法である。ここでは月探査「かぐや」での電波掩蔽による月電離層の観測のために、電波経路上にある地球電離層の影響を補正する方法について研究を進めた。 まず、「かぐや」の2機の子衛星を用いて、一方が月で掩蔽されているときにもう一方を地球電離層モニター用として、2機それぞれと地上局との間の電波伝搬によって計測される積分電子密度の差をとって月電離層の寄与を取り出すという方法を試みた。月面場での観測点が昼夜境界付近に限られたためか、期待。たような明瞭な月電離層のシグナルはあまり見られなかったが、21例のうち2例において月面付近の高度30km以下に電子密度の増分が見られた。 「かぐや」子衛星のうち1機だけを用いた観測は400回近くあり、地球電離層の影響を陽に取り除くことは難しいものの、統計的なアプローチが可能である。まず個々の観測において、電波経路が月面から十分離れているときの積分電子密度の変化傾向から地球電離層成分を推定して除去した。これらの結果を太陽天頂角について整理したところ、太陽直下点付近で明確な電子密度の増加が見られた。
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Research Products
(2 results)