2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740290
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
風間 洋一 Japan Aerospace Exploration Agency, 研究開発本部宇宙環境グループ, 宇宙航空プロジェクト研究員 (20443278)
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Keywords | 磁気圏・電離圏 / 人工衛星 / 地球電磁気 / 超高層物理学 / 放射線、X線、粒子線 |
Research Abstract |
本研究では、将来の科学観測衛星プロジェクトにおいて欠くことが出来ない放射線環境下での正確な低エネルギー電子計測をすることを目的とし、具体的には、アヴァランシェ・フォトダイオード(APD)を電子の検出に応用することで、放射線が作る多量なノイズを除去し信号雑音比を大きく向上させる技術を確立する。 試作する電子計測器は前段部の静電分析部と後段のAPD検出部からなり、前段部と後段部で計測したエネルギーを比較することで、放射線によるノイズを低減する。 本年度は、主に静電分析部の性能評価と、APDの基本性能を調べた。静電分析部の性能の評価は、電場解析・荷電粒子軌道計算を計算機シミュレーションにより行った。計測器の視野や角度分解能などは主に前段の静電分析部で決まっており、計算結果によると、各視野方向における角度分解能は5°(仰角方向)、3°(方位角方向)程度、エネルギー分解能は5%から10%であった。 電子を検出するAPD素子については、ガンマ線と電子線を入射させる試験を行った。電子線を用いた実験では、3keV程度の低エネルギー電子の計測をすることができたことで、計測可能エネルギーの理論上限値170keVであることを考えると、広範囲のエネルギーをカバーでき放射線環境下でも計測可能な機器が可能となる。この試験では、APD素子の個体によって、単一エネルギーの入力に対して二重ピークを持つものがあることが判明した。原因は、おそらく素子内部の構造の違いによるものと考えられ、今後の解析によりAPD素子内部にいたるまでの充分な知見を得ることができるであろう。
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