2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペルム紀末期の大量絶滅とその後の回復および放散現象の解明
Project/Area Number |
20740300
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小松 俊文 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40336201)
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Keywords | 進化 / 多様性 / 系統 / 東アジア / 層位 / 古生物 / 放散 / 三畳紀 |
Research Abstract |
古生代のペルム紀末期に生じた大量絶滅後の二枚貝類の回復から放散過程を明らかにする目的で, 北ベトナム北東部に分布する下部三畳系ランソン層や中部三畳系ナーファット層の地質調査を実施した. 調査では二枚貝やアンモナイト化石の採集と地質時代を検討するためのコノドント試料の採取, 堆積環境を復元するために必要な堆積学的なデータや試料の採取を行った. その結果, これまでに未記載の二枚貝類や時代決定に有効なアンモナイト化石などを含む化石産地を多数発見し, 三畳系の地質時代が階レベルで明らかになったため, これらの成果については, 研究協力者のDang博士と共著でベトチムの学術誌に報告した. 堆積環境については, 波浪堆積物が卓越する外浜〜陸棚環境が発達していたことが明らかになり, 大部分の化石は陸棚堆積物から産出することが明らかになった. 二枚貝化石群の構成やその時代的な変化については, 三畳紀中期に多数の種が出現し, 科レベルでも構成が変化することや, 生活様式なども多様化していることが分かったため, それらの概略を論文としてまとめ, Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecologyに投稿した. なお, 当初計画していたハーザン省における地質調査は, 水害による冠水や地滑りの影響で中止となったため, この地域については, 来年度以降に調査を実施する予定である. また, 年度末には日本とベトナムの三畳紀二枚貝類の比較を目的にDang博士を日本に招聘し, 野外調査や熊本大学所蔵の模式標本の観察などを行った.
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