2008 Fiscal Year Annual Research Report
石灰質有孔虫細胞内のカルシウムイオンの定量と挙動のリアルタイム観察
Project/Area Number |
20740301
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
豊福 高志 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 研究員 (30371719)
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Keywords | 石灰質有孔虫 / カルシウムイメージング / バイオミネラリゼーション / 生物源炭酸塩 / 海洋酸性化 / 古海洋学 / 海洋生物学 / 実験古生物学 |
Research Abstract |
本申請課題では,石灰質有孔虫細胞内のカルシウムイオンを蛍光プローブを用いて可視化,更に定量を可能にし,有孔虫類の石灰化過程におけるカルシウムの挙動を明らかにすることである. 本年度は、1)これまでに開発したカルシウム蛍光プローブFluo-3AMを用い、有孔虫細胞内におけるカルシウムイオン分布の観察、および2)カルシウムイオン濃度を定量するために、レシオメトリー法が適応できるカルシウム蛍光プローブFuraファミリーの取り込み、観察条件の最適化を行った。 Fluo-3AMによる観察結果によれば、底生有孔虫・浮遊性有孔虫の多くの種で、細胞内にカルシウムが貯蔵されている様子を確認した。カルシウム分布の様子やその量は種によって異なるが、その定量には至っていない。浅海性底生有孔虫Ammonia beccariiを用いた、Fluo-3AMを用いた細胞内カルシウム観察手法の確立と、石灰化中の細胞内カルシウム分布の時系列観察は、方法の独創性と興味深い観察結果が高く評価され、米国地球物理学会のオンラインジャーナルGeochemistry Geophysics Geosystermsに掲載された。また、これまで得られた知見を集約し、有孔虫の石灰化モデルを構築し、欧州微古生物学会春期有孔虫円石藻合同研究集会でポスター発表したところ、手法の新規性に加え、観察内容の重要性、モデルの先進性が評価され、最優秀ポスター賞を受賞した。 別のカルシウム蛍光指示薬Furaファミリーを用いた観察では、Fluo-3AMでは難しかった、細胞内カルシウムの定量が可能になると期待している。これまでに、Fura-2を用いて、細胞内への取り込み条件、観察条件の最適化を行った。新年度には、検量線を得て、細胞内カルシウムイオン濃度の定量を始める予定である。
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