2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740303
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗谷 豪 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (80397900)
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Keywords | 火山 / マグマ / 地殻・マントル / 熱進化 / モデル化 |
Research Abstract |
本研究では、マグマ溜りにおけるマグマが、どのような時間スケールで冷却するのかについて、定量的な理解を得ることを目的としている。今年度は主に(1) 有珠山の火山噴出物を対象としたマグマ熱史の情報抽出、(2) 利尻島に産する厚い玄武岩溶岩流を対象とした、マグマ冷却時における固液分離過程の考察、(3) 玄武岩質マグマ溜まり内におけるマグマ分化過程の定量的考察、を行った。まず(1)については、有珠山の玄武岩試料の採取を行い、全岩化学組成の測定を行った。その結果、マグマはほぼ一連の組成トレンドを形成することが確認され、組成はSiO2量について約50〜54wt.%程度であった。マグマの温度の推定とともに、具体的な解析は来年度に行う。(2) については、利尻島において野外調査を行い、厚さ約6mの溶岩流から60を超える試料の採取を行った。本年度はこれらの岩石試料の全岩化学組成の測定まで終了した。(3) については、マグマ溜まり内で同時に進行する均質分化作用(マグマ溜まり主要部での結晶分化作用)と境界層分化作用(固液境界層由来の分化液が主要部マグマに混入することによって引き起こされる分化作用)との相互作用について、マスバランスモデルと多成分系熱力学モデルを組み合わせたモデルを構築して、考察を行った。その結果、マグマの含水量が約2wt.%以上で、かつマグマ溜まりの圧力条件が約100MPa以上の場合に限り、境界層分化が主要な分化メカニズムになることが明らかになった。このことから、例えば含水量が高い島弧マグマが比較的地下深部にマグマ溜まりを形成した場合には境界層分化が主要になるが、中央海嶺玄武岩マグマやプレート内マグマの場合、もしくは島弧マグマでもマグマ溜まりが地下浅部にある場合には、均質分化が主要な分化メカニズムになることが分かった。この結果については本年度内に論文を執筆して投稿を行い、受理に至った(Kuritani, 印刷中)。
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[Journal Article] Intraplate magmatism related to deceleration of upwelling asthenospheric mantle : implications from the Changbaishan shield basalts, northeast China2009
Author(s)
Kuritani, T., Kimira, J.-I., Miyamoto, T., Wei, H., Shimano, T., Maeno, F., Jin, X., Taniguchi, H.
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Journal Title
Peer Reviewed
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[Presentation] Geochemistry and geochronology of Gaima basaltic lava plateau, northeast China2008
Author(s)
Kuritani, T., Kimira, J.-I., Miyamoto, T., Shimano, T., Maeno, F. , Wei, H., Jin, X., Taniguchi, H.
Organizer
Goldschmidt Conference
Place of Presentation
カナダ・バンクーバー
Year and Date
2008-07-17
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