2009 Fiscal Year Annual Research Report
火星・月隕石中に含まれる茶色カンラン石の成因とリモートセンシングデータへの応用
Project/Area Number |
20740305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三河内 岳 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (30272462)
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Keywords | 火星隕石 / カンラン石 / リモートセンシング / ナノパーティクル / 衝撃変成 / マグネタイト / 鉄ニッケル合金 |
Research Abstract |
1. 茶色のカンラン石を含むいくつかの火星限石(特に、レールゾライト質シャーゴッタイトとカンラン石フィリックシャーゴッタイト)をTEM(日本電子製JEM-2010)により観察・分析を行なった。その結果、茶色の呈色の原因として10~20nmの大きさの鉄ニッケル合金、もしくはマグネタイトのナノパーティクルがカンラン石中に含まれていることが分かった。これは、これまでに行った他の火星隕石の分析結果と一致していた。 2. 物材研で、加熱して衝撃実験を行ったカンラン石粉末試料をTEMにより観察した結果、マグネタイトではなく、鉄ニッケル合金のナノパーティクルが含まれていることが分かった。このことから、火星隕石中に含まれるナノパーティクルの鉱物種の違いは、酸素分圧ではなく、温度上昇の違いによってもたらされた可能性が示唆された。 3. 茶色のカンラン石を含むいくつかの火星隕石を赤外顕微鏡(日本分光製IRM-3000)で分析し、カンラン石の赤外域での反射スペクトルを得た。この結果、1050cm^<-1>付近で見られるピーク強度に色の強さとの相関性が見られた。 4. 2008年10月に地球に落下した小惑星2008TC_3の鉱物学的研究を行った。Almahata Sittaと名付けられたこの隕石は、火星隕石と同様に黒色化したカンラン石を含むが、この隕石はポリミクトユレイライトであり、黒色化の原因は炭素物質と還元により生じた鉄ニッケル合金によるものであった。輝石の微細組織から、平衡温度と冷却速度を見積もったところ、それぞれ、1240-1280度、0.2-5度/時間であった。これらの値は、これまでに他のユレイライトで報告されているものとよく一致した。このことは、ユレイライト母天体が高温時に衝撃破壊を受け、その後、再集積を行ったことに対応しており、小惑星2008TC_3はその表層付近に位置していたものと考えられる。
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[Journal Article] MELOS の目指す火星表層科学探査2009
Author(s)
杉田精司, 宮本英昭, 橘省吾, 岡田達明, 出村裕英, 大森聡一, 並木則行, 高橋幸弘, 三浦弥生, 長尾敬介, 三河内岳, 佐藤毅彦
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Journal Title
遊星人(日本惑星科学会誌) 18
Pages: 79-83
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