2008 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム液面上における帯電微粒子とプラズマとの相互作用の研究
Project/Area Number |
20740318
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
眞銅 雅子 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 特別研究教員 (10345481)
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Keywords | プラズマ科学 / 微粒子プラズマ / 液体ヘリウム / コンプレックスプラズマ |
Research Abstract |
本研究の目的は、超流動ヘリウムの冷たく静寂な表面に、プラズマで帯電させた微粒子の2次元結晶を生成し、さらにそれとプラズマとの相互作用を議論することである。本年度は、放電中の液体ヘリウム温度の上昇を極力抑えられるような放電システムの構築を目指した。ステンレス製の針電極を液体ヘリウム表面から数cm上部の蒸気中に挿入し、10kHz・Vpp〜6kVの交流電圧を印加することで、安定した放電プラズマを生成することに生成した。液体ヘリウム蒸気は非常に中性粒子密度が高いため、プラズマが電極の周辺に局在する様子が観測された。放電中の液体ヘリウム温度および蒸気の圧力に急激な上昇は見られなかった。さらにプラズマ中に直径3ミクロン程度の微粒子を投入して帯電させ、帯電した微粒子を液体ヘリウム表面まで導くシステムを製作した。微粒子表面の帯電量は最も重要な物理量の1つであり、かつ局在するプラズマを通りぬけた微粒子の帯電量変化は、コンプレックスプラズマの物理において非常に興味深い問題である。本研究では、帯電微粒子の軌道偏向の様子を400fpsの高速度カメラで撮像し、各フレーム上での粒子の位置と速度を解析することにより、運動方程式から微粒子の帯電量を導きだす方法を確立した。結果として、極低温環境下での微粒子帯電量は、室温環境と比べて2桁程小さく、またプラズマからの距離に従い指数関数的に大きく減少することが分かった。以上の結果を、9月に開催された国際会議において発表した。次年度以降に向け、プラズマと液体ヘリウム表面の距離を縮小する工夫と、帯電微粒子を液体表面近傍に捕捉するシステムの作成に取り掛かり、さらに液体表面近傍での観測を容易にするクライオスタットの開発を進めている。
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Research Products
(1 results)