2011 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム液面上における帯電微粒子とプラズマとの相互作用の研究
Project/Area Number |
20740318
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
眞銅 雅子 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究教員 (10345481)
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Keywords | プラズマ / 微粒子プラズマ / 液体ヘリウム |
Research Abstract |
本研究では、極低温液体ヘリウム表面に帯電した数ミクロンの微粒子を捕捉し浮かべることにより、帯電微粒子の2次元系を形成することを目的として実験を行った。プラズマ中では鉛直下向きの電場発生領域(シース)とプラズマとの境界に負に帯電した微粒子が浮遊することから、昨年度までは液体ヘリウム表面近傍に下向きの電場を印加し、負に帯電させた微粒子を浮遊させる試みを行っていたが、微粒子を浮遊させるには至らなかった。そこで平成23年度は、液体ヘリウム表面に電子を捕捉するのと同様の方法を採用することで、負に帯電した微粒子を液体表面に浮遊させることに成功した。変更した点は、表面を2枚の平行平板電極(距離約2cm)で挟み、その間に上向きの大きな電場(数kV/cm)を印加したことである。また、よりシンプルな実験系にするために、まず熱フィラメントを用いて電子のみを系に供給するよう装置を改良した。供給された電子により液体ヘリウム表面および微粒子は負に帯電する。電極の形状を変化させて局所的に大きな電場を生成すると、その領域の液体ヘリウム表面が窪み、窪みの底に微粒子が集団で捕捉されている系を実現することができた。窪みの大きさは直径5mm、深さ2mm程度で、印加した電場は約1kV/cmである。電場を小さくすると捕捉された微粒子が少しずつ窪みの中から外に逃げ出し、電場の向きを反転させると捕捉されていた微粒子が即座に落下した。次に高周波放電プラズマを用いて同様の実験を行ったところ、数個の微粒子が単体で短時間表面近傍に浮遊する様子を観測することができた。以上の実験結果から、本研究により帯電した液体ヘリウム表面に帯電微粒子を捕捉する技術が初めて確立されたといえる。
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