2009 Fiscal Year Annual Research Report
高ベータプラズマ衝突実験における粒子混合過程の研究
Project/Area Number |
20740321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井 通暁 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (00324799)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 磁気圏・電離圏 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
プラズマ衝突実験の実施に先立ち、(1)回転磁場によって維持された高ベータプラズマの特性解明、(2)分光計測システムの整備、(3)磁場揺動計測システムの整備、を実施した。(1)に関しては、静電プローブによるプラズマ内部の密度、浮遊電位および回転速度の詳細な計測を通して、非一様性の高い回転磁場の存在下での高ベータプラズマの平衡状態を解明することに成功した。(2)としては光電子増倍管アレイを用いた分光計測システムを構築し、主として衝突の際のイオンの挙動の時間変化を捉えることが可能になった。別途開発を行ったICCDを用いた分光計測システムと組み合わせることによって、空間・時間の分解能を補完しあう計測が可能となった。(3)としては、揺動周波数帯の調査や測定用コイル、測定位置の選定等を行った結果、24chの同時計測システムを採用した。これらの予備実験成果および計測整備を経て、衝突の際のプラズマの挙動を観測した。強いガイド磁場の存在下では、衝突中にX点近傍においてイオンの非熱的な成分が現れている可能性を見出した。これはリコネクションによるアウトフローを捉えている可能性があるが、測定精度の不足のため同定には至っていない。一方で磁場の揺動については、比較的低周波のMHD波帯の信号をプラズマ中の広範な領域で検出し、その伝搬の様子を観測した。衝突に際して背景の磁場構造そのものが時間変化することを考慮に入れて解析を行った結果、衝突地点から磁力線方向に伝搬を開始した低周波揺動が、短時間のうちに圧縮性のモードに変換されている可能性を見出した。これは、解放された磁気エネルギーが波動を介して伝搬され、波動とプラズマの相互作用によって効率的に熱化されているというモデルの可能性を示唆する結果である。
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