2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
並河 英紀 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 助教 (30372262)
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Keywords | ナノ空間 / 脂質二重膜 / 分子フィルタ / 自発展開 / 化学ポテンシャル / 単一分子観察 / ラチェット効果 / マイクロ化学チップ |
Research Abstract |
本申請研究では、数十~数百ナノメートル程度の微小な空間において発現する化学ポテンシャル障壁を利用した新規な分子操作流路の構築を目指したものである。本分子操作流路を構築することで、例えば長さ数十マイクロメートルの極微小なマイクロ流路で特定の分子のみをフィルタ可能な新規微小場分子分別システムを提案することが可能となる。これを目標とし、平成21年度には微小空間のサイズあるいは形状に依存したポテンシャル形成能、さらにはこの微小空間特異性を分光学的に解明するための研究を行った。その結果、微小空間の空間サイズに依存した分子フィルタ効果が発現することが明らかとなった。その原因を探るべく、空間内の分子の回転運動自由度を検出可能な蛍光変更測定を行ったところ、本研究にて構築した微小空間においては分子の回転運動が大きく抑制された高粘性状態が発現していることがあきらかとなり、この高粘性状態への分子相溶性の低下が分子フィルタ効果を発現させたものであることがエネルギー論的な考察から得られた。以上の検討より、個々の微小空間内の特異な環境特性が明らかとなったのみならず、これらの微小空間を高密度に集積化することで、わずか数十マイクロメートル程度のデバイス長にて作動する新規な微小場分子フィルタシステムの構築が可能であることが示された。また、その分子認識能についても検討を行った結果、分子のサイズ・電荷・官能基の結合位置の違いなどを認識し、それぞれのフィルタ効率を盛業可能であることも示され、複数成分から特定の成分のみを抽出することも可能であることが示唆された。
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Research Products
(18 results)