2008 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学-光電子分光複合装置を用いた構造規制電極上の燃料電池反応の解析
Project/Area Number |
20750007
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
脇坂 暢 University of Yamanashi, 燃料電池ナノ材料研究センター, 特任助教 (40377601)
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Keywords | 光電子分光 / 電気化学 / 表面酸化 / 酸素還元反応 / 化学吸着 / 白金単結晶 / 燃料電池 / 反応中間体 |
Research Abstract |
本研究では、電気化学-光電子分光複合装置(EC-XPS)を用いて、Pt並びにPt合金単結晶電極上の吸着酸素種の同定・定量を行い、これら構造規制電極上の酸素還元反応機構を解明することで高性能な燃料電池用カソード触媒の設計指針を得ることを目的としている。平成20年度は当初の計画通り、基本低指数面であるPt(111)とPt(110)単結晶電極の表面酸化過程並びに酸素還元反応時の中間体の解析を行った。 EC-XPS装置での解析を行う前に、以下の準備実験を行った。1、EC-XPS装置での解析を行えるように、単結晶電極専用の試料ホルダーを作製し、また装置内での実験手順の最適化を行った。2、単結晶電極は装置に持ち込む際によく規定された表面に調製する必要がある。試料調製は雰囲気制御下において加熱・冷却することで行うが、再現性の高い調製には精密な温度制御が必要であった。そこで雰囲気制御が行える赤外線イメージ加熱炉(アルバック理工)を購入し、単結晶電極の調製に用いた。走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて調製後の単結晶電極の表面観察を行い、加熱炉の温度プログラムの最適化を行った。 上述のようによく規定された単結晶電極を用いて、Pt(111)並びにPt(110)単結晶電極の表面酸化過程の解析をEC-XPS装置を用いて行った。この結果、表面酸化の初期段階でヒドロキシルが生成し、次いで原子状酸素が生成することを実験的に初めて明らかにした。また、表面酸化過程は指数面により異なること、表面上の水分子の吸着形態が電極電位により変化することが初めてわかった。これらの知見は燃料電池反応だけでなく、Ptを用いた電気化学反応や表面化学反応全般の理解に役立つと期待される。 Pt(111)電極に関してはEC-XPSを用いて酸素還元反応中の吸着酸素種の同定・定量を完了した。この結果、新しい酸素還元反応中間体(分子状酸素)を発見した。
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Research Products
(4 results)