2009 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学-光電子分光複合装置を用いた構造規制電極上の燃料電池反応の解析
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20750007
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
脇坂 暢 University of Yamanashi, 燃料電池ナノ材料研究センター, 特任講師 (40377601)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 酸素還元反応 / 白金単結晶電極 / 光電子分光法 / 走査型トンネル顕微鏡 / 反応中間体 / 吸着酸素種 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)は低環境負荷であることから自動車用・家庭用電源として期待されている。PEFCの普及化に向けた課題の一つに、カソードに用いられる電極触媒の性能向上が挙げられる。Pt系合金触媒が高い酸素還元活性を示すことが報告されているが、その酸素還元反応(ORR)機構に統一的な見解が得られていない。そこで本研究では、電気化学-光電子分光複合装置(EC-XPS)を用いてPt並びにPt合金単結晶電極上の吸着酸素種の同定・定量を行い、これら構造規制電極上のORR機構を解明することで高性能な燃料電池用カソード触媒の設計指針を得ることを目的とした。 本年度はPt単結晶低指数面電極上の吸着酸素種の解析を昨年度から引き続き行い、Pt(111)、Pt(110)更にはPt(100)表面の酸性溶液中の表面酸化過程を初めて明らかにし、それら酸化過程が指数面によって大きく異なることを示した。実用Ptナノ粒子触媒表面はこれら低指数面から構成されており、触媒の安定性といった観点から、これら表面酸化過程の知見は非常に重要である。また、走査型トンネル顕微鏡を用いてPt(111)単結晶表面の酸化・還元反応に伴う表面形状変化のその場観察に初めて成功した。本研究で得られた知見は燃料電池研究だけでなく、電気化学・表面化学全般に寄与すると期待される。 ORR機構を解明するため、酸素還元活性の異なるPt(111)並びにPt(110)単結晶電極上のORR中間体の解析を行った。その結果、活性の低いPt(111)では未解離分子状酸素が観察された一方、活性の高いPt(110)では解離吸着原子状酸素が多く見受けられた。酸素還元活性と反応中間体の吸着量との相関は、ORR機構の解明につながると大いに期待される。 さらに研究実施計画に基づき本年度は合金単結晶の作製を試みた。従来のチョクラルスキ法に替わる簡便な火炎溶融法により、任意組成の固溶PtCo合金単結晶を量産することに成功した。これにより、燃料電池用Pt系合金電極触媒の研究に道が開けると期待される。
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Research Products
(11 results)