2009 Fiscal Year Annual Research Report
2光子光電子分光法による一次元溶媒和電子のダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
20750011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 剛司 Osaka University, 理学研究科, 助教 (90432468)
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Keywords | 時間分解2光子光電子分光 / 走査トンネル顕微鏡 / 固体表面 |
Research Abstract |
時間分解2光子光電子分光法(TR-2PPE)に関しては、装置改良を継続した結果、良く規定された系に関して性能試験を兼ねた試験計測を行える段階となった。プリズム対を用いることで既存のチタンサファイヤレーザー(標準パルス幅100fs)のパルス幅を約40fsまで圧縮することが可能となり、当初想定していたTR-2PPE実験実施に十分な時間分解能を持つことが確認された。電子準位・吸着構造ともに良く規定された、グラファイト表面上の鉛フタロシアニン単分子膜に本手法を適用して実験を行ったところ、非占有準位に励起された電子が有限の寿命をもつことが判明した。今後は水分子吸着系への実験に移行し、溶媒和励起電子の寿命を測定する。 吸着構造に関して、STM/STS実験を継続している。新規に電流増幅装置を導入し、S/N比の大幅な向上が見られた。ナフタレン吸着系に対してSTM観察を行ったところ、吸着構造が長周期でオーダーしており、STSでは最高占有準位(HOMO)軌道付近に大きな状態密度をもつことが判明した。STMでは分子内分解能を実現しており、分子のHOMO軌道の節に対応する位置で1分子が割れた形で画像化された。なお、HOMOのエネルギー位置は先述の2PPEで確認した占有最高軌道(HOMO)位置とは1eV程度離れている。これは探針-試料間の電場効果などを考える必要がある。今後は水分子吸着系でも同様の実験を試みる予定である。
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