2008 Fiscal Year Annual Research Report
単分子蛍光検出・イメージングによる高分子材料物性変化のリアルタイム時空間分解計測
Project/Area Number |
20750012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊都 将司 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (10372632)
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Keywords | 単分子蛍光イメージング / 単分子追跡(SMT) / 単分子検出 / レジスト材料 / 高分子材料 / 光硬化性樹脂 / 熱硬化性樹脂 |
Research Abstract |
高分子の局所的な光重合・架橋反応は産業的にはレジスト材料等の中心的な反応プロセスであり、また光反応性高分子材料を用いた3次元ナノ加工技術の開発、応用が近年盛んである。上記の微細光加工では、反応の空間選択性が加工精度を決定する。従って反応進行度のinsitu空間分解測定法は、高性能材料開発のためにも、また複雑な重合・架橋反応の空間的不均一性を理解する上でも重要である。本研究では、蛍光分子をプローブとして用い、局所環境に依存した個々の分子の動きを追跡することで、高分子材料の物性変化と不均一性を高い空間分解能で追跡可能な新たな計測手法開発を目指す。 本年度は、蛍光顕微鏡と超高感度のCCD検出器を用いた単分子イメージング装置を構築し、またLabviewやIgor等の言語を用いた解析プログラムを作成した。構築したシステムでは、位置決定精度数〜10nm程度で高分子材料中の単一分子の並進拡散を追跡することが可能である。このシステムを用い、リソグラフィー用レジスト下層膜等に用いられるポリヒドロキシエチルアクリレート(HEA)と架橋剤の混合薄膜の熱架橋反応や、デキストリン系光反応性高分子材料の光誘起架橋・重合反応に伴うゲスト蛍光分子の並進・回転拡散運動の変化を単分子イメージングにより追跡した。その結果、HEA系材料では反応の進行に伴い、まずゲスト分子の並進拡散が抑制され、次いで回転拡散が止まるという階層的な分子運動の凍結を単分子レベルで可視化することに成功した。また両方の材料に関して、反応に伴うゲスト分子の運動性変化が分子の置かれる位置ごとに大きく異なったことから、材料のミクロ領域における空間的不均一正に関する情報を得ることができた。
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