2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大久保 貴広 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30385554)
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Keywords | 表面・界面物性 / ナノ材料 / X線 / イオン / 溶液 / 吸着 / ミクロ孔 / 活性炭素繊維 |
Research Abstract |
ナノオーダーの固体細孔内では、クーロンカが支配的なイオンの水和構造ですらバルクの構造とは大きく異なることが明らかになりつつある。本研究では、ピッチ系活性炭素繊維(ACF)のミクロ孔内における金属イオンの水和構造ならびにイオンの溶解・析出過程について検討した。ここでは亜鉛に関する結果を示す。 平均細孔径の異なる2種類のACF (P7およびP20;それぞれw=0.7と1.1nm)を用いた。ACFを0.5Mの酢酸亜鉛(Zn(OAc)_2)水溶液中に分散させ、24時間攪拌後にろ過、洗浄および乾燥処理を行った試料を得た。ミクロ孔内における水溶液構造を検討するためにXAFSおよびXRD測定を行った。それぞれ真空加熱脱気(423K,2時間)後と室温での飽和蒸気圧まで水を吸着させた後の試料について測定した。また、XAFSのQuickモードで水の吸着・脱離過程における1分毎のQXAFSスペクトルも測定した。 Zn(OAc)_2を導入したP7に水が吸着する過程におけるXANESスペクトルの変化を検討した結果、ミクロ孔内におけるZnイオンに水が配位し、異方的な6配位構造を形成することがわかった。また、QXAFSスペクトルを検討すると、P7のミクロ孔内でZnイオンに配位した水分子が極度に安定化されていることも明らかとなった。更に、P7のミクロ孔内に制約されたZn(OAc)_2は水の吸着後にのみXRDにおいてd=2.0nmに起因する微小な回折ピークを示すことから、1nm以下のミクロ孔内でZn(OAc)_2が溶解することで局所的に秩序性の非常に高い構造が形成される可能性が示された。これらの結果は、イオン半径が似通っている銅イオンの構造とは明らかに異なるものであり、今後、歪んだ水和構造が形成される原因を明らかにする必要がある。
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Research Products
(6 results)