2008 Fiscal Year Annual Research Report
赤外吸収分光によるナノサイズ巨大水和クラスターの水素結合ネットワークの研究
Project/Area Number |
20750016
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松本 剛昭 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 助教 (30360051)
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Keywords | クラスター / 水素結合 / 赤外分光 |
Research Abstract |
1. 赤外キャビティリングダウン分光によりNH、OH伸縮振動を観測し、更に量子化学計算による構造最適化、及び基準振動解析を行うことで、ピロールと水・アルコールとの溶媒和クラスターの水素結合構造の解明を行った。1 : 1クラスターでは、低波数シフトしたピロールのNH伸縮振動が観測され、そのシフト値が溶媒分子のプロトン親和力の値に依存していた。従って、この水素結合構造はNH基が供与体であるσ型であると結論した。ピロール・メタノール1 : 2クラスターは、量子化学計算を行うと3種類の安定構造が得られた。この中で、実験で観測された赤外スペクトルを再現したのは、メタノール2量体がピロールのNH基とπ電子に水素結合したσ-π型橋架け構造のみであり、これが1 : 2クラスターの構造であると結論した。本現時点では、溶媒分子の数が数個のレベルであり、本研究課題の対象である巨大水和クラスターには程遠いが、今後の発展への第一歩となる研究成果であるという点で大変意義があると考えている。 2. NH伸縮振動の観測と量子化学計算により、ピロール・アンモニア溶媒和クラスターの水素結合構造の解明を行っている(現在、研究進行中)。アンモニアクラスターは比較的容易にサイズを巨大化できること、その水素結合構造が個体結晶と類似であることが、昨年度の研究から既に明らかである。そこで、この巨大クラスターに溶質分子であるピロールを埋め込むことで、本研究課題の対象である巨大水和クラスターと同様の、水素結合ネットワークに関する考察ができると考えている。現時点では.アンモニアが数個のクラスターについての水素結合構造を明らかにしており、上記の溶媒和クラスターと類似の結果が得られている。
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Research Products
(4 results)