2009 Fiscal Year Annual Research Report
揺動磁場下の固体高分解能NMR-二次元展開と高速化-
Project/Area Number |
20750019
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
飯島 隆広 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 助教 (20402761)
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Keywords | 高分解能NMR / 固体NMR |
Research Abstract |
核磁気共鳴は物質の局所的な構造を非破壊に精密解析し得ろ有力な分析手段であるが、測定感度が極めて低い点が問題であり、その問題の克服のために様々な方法が開発されている。感度向上に資するため、測定磁場の強磁場化が図られており、超電導磁石と水冷銅磁石を組み合わせたハイブリッド磁石は極めて強い磁場を作り出せる。しかし、ハイブリッド磁石は磁場の均一性が高分解能NMRを行うには不足しているため、磁場揺動の影響を除去できる方法の適用が必要となる。昨年度、核スピン1の核種について高感度でスペクトルを取得するQCPMG法を開発した。その方法はプローブに負担のかかる180゜パルスを多用する方法であったため、本年度は、90゜パルスのみで動作するシーケンスを開発した。また、QCPMG法を分子運動の検出に適用することを試みた。NMRプローブを温度変化が可能となるように改造し、常磁性CoSiF_66H_2Oをモデル化合物として実証氏実験を行った。測定結果の解析のため、密度行列の時間発展を、化学交換を考慮したLiouvillevon Neumann方程式に従い、既約テンソルを基底として計算するプロクセラムを開発した。測定及び解析の結果、本法を適用することにより、従来法ではアクセス不能であった遠度領域の分子運動が観測可能となることが分かった。さらに、この方法をもとに、揺動磁場化でも超高速で高分解能スペクトルを測定するためのパルスシーケンスを考案した。
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Research Products
(4 results)