2009 Fiscal Year Annual Research Report
絶対位相制御光による固体の超高速光ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
20750021
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
加藤 景子 NTT Basic Research Laboratories, 量子光物性研究部, 社員 (40455267)
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Keywords | コヒーレントフォノン / キャリアエンベロープ位相 / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
光電界の絶対位相が固体中のキャリアならびに格子振動に及ぼす影響を明らかにするために、時間分解反射率測定法により超高速光励起キャリア・フォノンダイナミクスの実時間観測を行った。 1. 炭素系化合物におけるコヒーレントフォノンダイナミクスの観測 これまで観測が不可能だと報告されていた金属型カーボンナノチューブのコヒーレントフォノンの観測に成功した。炭素伸縮振動モードの縦ならびに横モードを観測し、これらが互いに干渉しあっていることがわかった。さらにカーボンナノチューブの凝集が、時間分解反射率測定によって従来の分光学的手法より高感度に検出できることがわかった。 2. Siのコヒーレントフォノンにおけるドープ効果 Siのコヒーレントフォノンのドープ依存性を調べたところ、n(p)型ドープでコヒーレントフォノンの寿命が長く(短く)なり、またフォノンの周波数がドープ濃度に比例して低くなることがわかった。コヒーレントフォノンの測定を通じ、半導体中の不純物の極性・濃度が、室温かつ非破壊で決定できることがわかった。 3. 絶対位相制御光を用いた極性半導体におけるコヒーレントフォノンダイナミクスの観測 絶対位相制御光を用いて、GaAs, SiC, GaNなどの極性半導体において時間分解反射率測定を行い、キャリア・フォノンダイナミクスの観測を行った。いずれの物質でも観測される絶対位相依存性の観測には至らなかった。今後は、絶対位相依存性がより顕著になると予測される高強度レーザー励起による実験に取り組む。
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Research Products
(14 results)