2010 Fiscal Year Annual Research Report
絶対位相制御光による固体の超高速光ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
20750021
|
Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
加藤 景子 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物研究部, 研究員 (40455267)
|
Keywords | コヒーレントフォノン / 超短パルスレーザ / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
光電界の絶対位相が固体中のキャリア・フォノンに及ぼす影響を明らかにするため、時間分解反射率測定法により、光励起キャリア・コヒーレントフォノンダイナミクスの実時間観測を行った。 1.SiCのコヒーレントフォノンの観測 ワイドバンドギャップ半導体である6H-SiCについて、光励起キャリア・フォノンダイナミクスを観測するために時間分解反射率測定を行った。6H-SiCのA対称性、E_2対称性のフォノンを観測することができた。いずれのフォノンも、その振幅強度が光励起強度に対して線形依存性を示していた。実験に用いた励起光一光子のエネルギーがSiCのバンドギャップより小さいことから、仮想遷移を経て6H-SiCのフォノンが生成されていることがわかった。 2.絶対位相制御光を用いたワイドバンドギャップ半導体における超高速光キャリア・フォノンダイナミクスの観測 絶対位相制御光の影響を効率よく取り出すために多光子励起過程に着目し、GaNなどのワイドバンドギャップ半導体を対象として時間分解反射率の測定を行った。しかしながら測定システムのS/Nが非常に低く、光励起キャリア・フォノンダイナミクスにおける絶対位相依存性の観測には至らなかった。今後は実験手法ならびに、観測対象の見直し行い、引き続き固体キャリア・フォノンダイナミクスにおいて光電界の位相が与える影響について調べていきたい。 3.表面第二次高調波発生による固体表面・界面ダイナミクスの観測 固体表面・界面に局在する空間的に非対称な電場を有する系において、光電界の絶対位相が及ぼす効果を調べるために、表面第二次高調波発生によるキャリア・フォノンダイナミクスの測定システムの構築に着手した。酸化亜鉛表面からの第二次高調波発生に成功した。今後は表面第二次高調波の時間分解計測を行い、固体表面・界面の超高速光ダイナミクスにおける絶対位相制御光の影響について調べる。
|
Research Products
(13 results)