2008 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学ポテンシャルを制御したカンチレバーによる静電相互作用検出の基礎と応用
Project/Area Number |
20750023
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横田 泰之 The Institute of Physical and Chemical Research, 川合表面化学研究室, 基礎科学特別研究員 (00455370)
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Keywords | 表面・界面 |
Research Abstract |
これまで、水溶液中で原子・分子分解能を有する電気化学走査トンネル顕微鏡(EC-STM)や電気化学原子間力顕微鏡(EC-AFM)を用いたソフトマテリアルに関する研究が多数行われてきた。近年、これらを利用した細胞膜の吸着タンパク質の構造、反応、拡散過程等の解明が、生物・医科学分野から求められている。しかしながら超高真空中とは異なり、観察中に複雑な電気二重層が形成されているため、得られたデータの正確な解釈はほぼ不可能に近いのが現状である。我々は、様々な電位プロファイルの界面を自由に形成するため、探針および試料電位を独立に制御可能なAFMシステムの構築を行った。種々の末端官能基を有する自己組織化単分子膜(SAM)間のフォースカーブ測定を行ったところ、電気化学不活性なメチル(CH_3)またはアミノ(NH_3^+)末端SAM間の場合、フォースカーブはアプローチ、リトラクト時共に電極電位に依存しなかった。その結果、本研究で用いた条件下では、電気二重層の充電による帯電効果は探針-試料間の力測定に影響を及ぼさないことが分かった。一方、電気化学活性なフェロセン(Fc)末端SAM間の場合、Fcの酸化状態に応じてフォースカーブが大きく変化し、Fcの帯電に伴う界面エネルギー変化を検出可能なことが分かった。また、ほぼ同程度の表面密度で正電荷を有するNH_3^+およびFc^+末端SAM間のアプローチカーブを比較することで、SAMと対アニオンとのイオン対の構造が両者で大きく異なることが分かった。本年度の研究によって、プローブが測定対象に及ぼす影響が明らかになり、本手法が様々な系において、定量的な相互作用評価ツールとなりえることが分かってきた。
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