2009 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学ポテンシャルを制御したカンチレバーによる静電相互作用検出の基礎と応用
Project/Area Number |
20750023
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横田 泰之 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (00455370)
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Keywords | 表面・界面 |
Research Abstract |
電気化学走査トンネル顕微鏡(EC-STM)や電気化学原子間力顕微鏡(EC-AFM)をはじめとする電気化学走査プローブ顕微鏡は、電解質溶液中で原子分解能観察が可能なことから、電極表面の構造解析の要となってきた。しかしながら真空中とは異なり、観察中に複雑な電気二重層が形成されるため、得られたデータの正確な解釈は不可能に近い。特に、単なる表面のイメージングを越えて原子・分子レベルでの物性測定を行うためにはこの問題を克服することが必須である。これまでのEC-STMを利用した物性測定の知見から、この問題点を解決するためにはプローブが測定対象に及ぼす影響を正確に理解する必要がある。 今年度は、昨年度に構築した探針および試料電位を独立に制御可能な原子間力顕微鏡(AFM)システムを用いて、種々の末端官能基を有する自己組織化単分子膜(SAM)間のフォースカーブ測定を行った。電気化学活性なフェロセン(Fc)末端SAM間の場合、Fcの酸化状態に応じてフォースカーブが大きく変化し、Fcの帯電に伴う界面エネルギー変化を検出可できることが分かっている。この知見を基に、中性のFc末端SAMに、これを酸化できる電位に制御したCH_3末端SAM探針を近づける実験を行ったところ、CH_3末端SAMのアルキル鎖長が短くなると、探針によりFcが酸化されることを示唆するフォースカーブが得られた。これにより、探針と試料間の距離が数nm以下の場合には、探針が試料の状態を変える事が明らかになった。
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