2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 宗治 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (70431492)
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Keywords | π共役 / フタロシアニン / 超分子化学 |
Research Abstract |
研究計画に示した(1)他の芳香族分子との融合による新規フタロシアニン類縁体では、イソインドリン骨格を7員環構造を含むジベンゾアゼピン骨格に置き換えることで、フタロシアニンの環内部に7員環構造を導入することに成功した。この化合物については結晶構造を明らかにし、7員環部分で大きく平面から歪んだ構造を取っていることを明らかにした。吸収スペクトルでは分裂したQ帯吸収をフタロシアニンのそれと比べて、それぞれ長波長、短波長側に示した。これは7員環部分でπ共役が外周部に拡張に出来ないために、フタロシアニンの還元種であるクロリンと同様の電子構造を取っているためであると考えられ、磁気円偏光二色性スペクトル、電気化学測定、及び理論計算により明らかにした。またこの分子は2,2'-ビフェニルジカルボニトリルを原料に用いて合成を行ったが、これをビピリジルジカルボニトリルに置き換えることで、環外周部に金属配位部位を有するフタロシアニン類縁体の合成が可能であり、この分子は(3)超分子相互作用によるフタロシアニンの多量化に発展可能である。現在予備的ではあるが合成に成功している。次年度での同定及び多量化への進展を試みる。(2)π共役によるフタロシアニンの多量化では初年度に行ったピレンで連結した二量体分子は低い溶解性や会合のために十分な同定が行えなかった。そこでフタロシアニンの環縮小体であるサブフタロシアニンを用いてピレンユニットで連結した二量体分子を合成し、色素間の相互作用を見積もった。ピレンユニットを導入したサブフタロシアニン単量体の結晶構造から、ピレンユニット同士で強くπ-スタックしている挙動が見られたことから、平面性の高いフタロシアニンではより顕著に会合することが示唆された。そこで今年度は6員環構造で連結した非平面型のフタロシアニン二量体の合成を試みる。
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