2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 宗治 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70431492)
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Keywords | π共役 / フタロシアニン / 超分子化学 |
Research Abstract |
研究計画書の(1)他の芳香族分子との融合による新規フタロシアニン類縁体については6員環構造を環内部に有するサブフタロシアニンの合成に成功し、結晶構造解析によりその構造を明らかにした。この新規サブフタロシアニンは通常のサブフタロシアニンに比べて長波長にQ帯吸収を示した。これは理論計算と磁気円偏光二色性スペクトルからHOMOの不安定化に起因することを見出した。またこの結果は環内部の5員環構造をより大きな環構造へと変化させることにより、期待していたようにフタロシアニンやサブフタロシアニンの物性を大きく変化しうることを明らかにした。また(2)のπ共役によるフタロシアニンの多量化ではテトラシアノナフタレンを用いることでナフタレンで連結され、且つ6員環構造を環内部に有するフタロシアニン2量体の合成に成功した。まだ単離段階ではあるが、そのQ帯吸収は近赤外領域にまで大きく長波長シフトしており、これについても研究計画で掲げた目的をある程度達成したと言える。(3)の超分子相互作用によるフタロシアニンの多量化では環外周部にビピリジルユニットを有する類縁体において、亜鉛やルテニウムといった金属イオンを外部配位することにより2量体や3量体の生成を質量分析から確認した。現在単離を行っている。また新規に合成に成功した環外周部にピレンを有するサブフタロシアニンが結晶内でπ-πスタッキング相互作用による1次元的な配列をとることに着目して、球状分子であるフラーレンとの共結晶化を試みたところ、期待通り1:2の会合体が結晶内で1次元的に配列することを見出した。今後さらにπスタッキング相互作用の強いユニットを外周部に用いることで溶液状態での分子認識へと展開したい。3年間の研究期間を通して、(1)~(3)の研究目的について当初の目標を達成したと言える。
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