2009 Fiscal Year Annual Research Report
含リン縮合多環式π共役系化合物群の創製および機能発現
Project/Area Number |
20750029
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
深澤 愛子 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (70432234)
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Keywords | π共役 / 縮合多環式化合物 / リン / 典型元素化学 / 分子内環化反応 / 蛍光 / 光物性 / 電気化学特性 |
Research Abstract |
本研究は,15族元素であるリンの特異な構造特性・電子構造に注目し,新たな機能をもつπ共役分子群の創製を目指すものである.この目的を達成するための新たなπ共役骨格として,含リン縮合多環式化合物であるホスホリル架橋スチルベンを設計した.強い電子求引基であるホスホリル基((P=O)R)をスチルベンの架橋部位として導入することで,単にπ電子系を共役の拡張に有利な平面構造に固定化するだけでなく,高い電子受容性を付与することができると期待され,π電子系の新たな基本骨格としての潜在性を十分に備えていると考えられる. 平成21年度では,まず,前年度に見いだした2-アリールベンゾ[b]ホスホールの合成法を基盤とし,種々の縮環ホスホールオキシド誘導体を合成し,これらの高い電子受容性ならびに特異な発光特性を明らかにした.特に,リン・炭素架橋スチルベンと2-フェニルベンゾホスホールオキシドの光物性を比較することで,環歪みの増大が最低エネルギー遷移の振動子強度を低下させるという興味深い知見を得た.さらに,電子輸送材料への応用を指向し,ベンゾジホスホールジオキシドおよびジスルフィドを新たに設計・合成し,これらが高い熱安定性・高いガラス転移温度と高い電子受容性を兼ね備えていることを示した. また,ホスホリル架橋スチルベンを基本骨格とする拡張π電子系として,電子供与性のトリフェニルアミンが両端に置換した化合物およびビチオフェンとのコポリマーを合成し,これらがホスホリル架橋スチルベンの高い電子受容性を反映していずれも赤色発光を示すことを見いだした.これらの光物性を,他の電子受容性スチルベンを基本骨格とする類縁体と詳細に比較することで,ホスホリル架橋スチルベンの電子受容性ユニットとしての特徴を明らかにし,高発光性分子の基本骨格として有用であることを示した.
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Research Products
(13 results)