2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボウル型分子スマネンを活用したカーボンナノチューブ骨格の合成研究
Project/Area Number |
20750033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
雨夜 徹 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20397615)
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Keywords | カーボンナノチューブ / πボウル / π共役 / スマネン |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ骨格をボウル型π共役系分子スマネンを活用した合成ルートを開発すべく研究に取り組んだ。カーボンナノチューブ骨格に特徴的な湾曲した縮環ベンゼン構造を合成するため、スマネンのベンジル位を2つ使って、縮環を伸長する合成戦略を考えた。具体的には、それら2つのベンジル位のすぐ隣りのベンゼン環にそれぞれ臭素を導入し、合成の足掛かりとする。この時、臭素同士がスマネン骨格中のトリフェニレンの2,7位に導入されなければならない。続いてクロスカップリング反応とベンジルアニオンを活用する炭素-炭素結合形成により縮環を伸長する。実際、スマネンの芳香環部位に芳香族求電子置換反応によるジブロモ化を行ったところ、2種類の位置異性体が得られた。この段階では、精製することはできなかったので、クロスカップリング反応を行った。その結果、対称性から判断して目的とする位置異性体が主生成物であることが判明した。また、密度汎関数法を用いる分子軌道計算によってもこの結果が支持された。続いて、ベンジルアニオンを発生させ、1,2付加・脱水反応シークエンスに基づく芳香族化により縮環を2つ同時に合成した。今回得られた化合物はC_<35>H_<16>であり、アームチェア-型のカーボンナノチューブの部分骨格に相当する。またスマネン同士をクロスカップリングさせることによりやはり、アームチェア-型のカーボンナノチューブの部分骨格に相当するC_<42>H_<22>も合成した。今回得られた結果は、カーボンナノチューブ骨格の全合成を行うための有用な方法論として考えられる。
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Research Products
(6 results)