2009 Fiscal Year Annual Research Report
超長寿命電荷分離を目指した電子ドナー・アクセプター導入型白金錯体の合成研究
Project/Area Number |
20750034
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鈴木 修一 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 助教 (80433291)
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Keywords | 有機光化学 / 構造有機化学 / 光誘起電子移動 / 白金錯体 |
Research Abstract |
光エネルギーを電気・化学エネルギーへ効率的に変換させるには、長寿命の光誘起電荷分離状態を有する分子システムの構築が重要と考えられる。本研究では、三重項励起状態を利用した系を用いて電荷分離状態の長寿命化を検討した。昨年度までに、光増感部として常温燐光発光錯体である白金錯体、電子供与部としてジアニシルアミン、電子受容部してナフタルジイミド、連結部としてフェニレン架橋を用いた分子システムを設計・合成した。さらに本年度、白金部の効果の詳細を明らかにするために、白金部と電子供与・受容部を結ぶ連結部を変調した錯体、電子供与部をフェノチアジンとした錯体や電子受容部をボロンジピロロメテン誘導体とした錯体を設計・合成した。光励起することで、比較的長寿命の電荷分離状態が生成していることを各種測定により明らかにした。その電荷分離状態の生成速度ならびに寿命は連結部によって制御可能であることが分かり、系によっては1μs以上の寿命を有する長寿命電荷分離状態の高効率発生にも成功した。また、時間分解EPR測定の結果と電荷分離状態の寿命の磁場効果から、当初目的にしていた三重項状態の電荷分離状態であることも明らかとした。本実験結果により、白金錯体の三重項励起状態を用いることで超長寿命の電荷分離状態を有する分子システムの構築を可能にする端緒が開けたと考えている。また、本系におけるスピン制御型の電荷分離発生錯体は、スピントロニクスにおけるユニットとしての応用可能性を秘めている。
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Research Products
(14 results)