2008 Fiscal Year Annual Research Report
シクロヘキシルアミン骨格を有する生物活性物質の全合成研究
Project/Area Number |
20750036
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石川 勇人 Tokyo University of Science, 工学部, 助教 (80453827)
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Keywords | 有機触媒 / ワンポット反応 / オセルタミビル / カナマイシンA / パンクラチスタチン / ドミノ反応 |
Research Abstract |
近年、生物活性化合物の臨床的評価を得るための量的供給を目的とした高収率、短行程、高立体選択的な全合成、及び構造活性相関やプローブ分子を見据えた柔軟な全合成が重要な課題である。本研究では生物旨活性物質として重要なオセルタミビル,カナマイシンA,パンクラチスタチンを、所属研究室において開発された不斉有機触媒反応を用いることにより合成可能と考えられる光学活性シクロヘキシルアミン誘導体を共通中間体とし、これまでに無い短工程で、大量合成可能な全合成を達成すべく研究を行った。今年度は、インフルエンザ治療薬タミフルとして知られるオセルタミビルの工業化を視野に入れた全合成研究を行った。当研究室で開発された不斉マイケル反応の後、ドミノマイケル/ホーナーエモンス反応、さらに、トルエンチオールを求核種としたドミノマイケル/異性化反応をワンポットにて行い、基本骨格を構築した後、2つのワンポット反応でオセルタミビルの全合成を達成した。本合成は3つのワンポット反応、1回のカラム精製のみであり、また、総収率は57%とこれまでに無い効率的かつ簡便な合成である。また、本合成は3つのセグメントを収束的に連結させる合成手法である事から、誘導体合成が容易であり、タミフル耐性ウィルスの流行に備えた医薬品候補化合物ライブラリー構築に応用出来る。実際にすでに30種以上の誘導体を合成し、その薬理活性評価及び構造活性相関研究について検討を行っている。
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Research Products
(13 results)