2009 Fiscal Year Annual Research Report
シクロヘキシルアミン骨格を有する生物活性物質の全合成研究
Project/Area Number |
20750036
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石川 勇人 東京理科大学, 工学部, 助教 (80453827)
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Keywords | 有機触媒 / ワンポット反応 / オセルタミビル / ABT-341 / ドミノ反応 / マイクロフローシステム / カラムフリー合成 |
Research Abstract |
近年、生物活性化合物の臨床的評価を得るための量的供給を目的とした高収率、短行程、高立体選択的な全合成、及び構造活性相関やプローブ分子を見据えた柔軟な全合成が重要な課題である。本研究ではシクロヘキシルアミン骨格を有する重要な生物活性物質を、所属研究室において開発された不斉有機触媒反応を用いることにより、これまでに無い短工程で、大量合成可能な全合成を達成すべく研究を行った。今年度は、昨年度達成したインフルエンザ治療薬タミフルとして知られるオセルタミビルの効率的全合成に続き、工業化を指向したカラムフリー、ハロゲン系溶媒を一切しない合成へと発展させた。さらに、潜在的な爆発性を有する中間体の危険性を回避するため、マイクロフローシステムを応用し、安全性の高い全合成へと発展させた。一方、同様にシクロヘキシルアミン骨格を有する新規糖尿病治療薬候補化合物であるABT-341の全合成を達成した。本化合物の全合成の鍵工程は当研究室で開発された不斉マイケル反応に続く、ドミノマイケル/ホーナーエモンス反応による基本骨格の構築であり、効率的にABT-341の不斉点及びすべての官能基を一挙に組み上げる事が出来る。また、本合成では効率化を図るべく、ワンポット反応へと展開、応用した。最終的に強力な生物活性を有する本化合物をワンポット反応(一つのフラスコ内)で合成する事に成功した。本合成は6段階、ワンポット、総収率は63%であり、非常に効率的な合成となっている。また、オセルタミビル、ABT-341共に、簡便に全合成出来る特徴を活かし、新規医薬品開発に向けた誘導体を種々合成した。現在、共同研究により生物活性試験を検討している。
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Research Products
(6 results)